ウツ病とアルコール
今やありふれた病気といっても過言ではないうつ病。友人、知人、親戚縁者に複数うつ病の人間がいると言う人も珍しくないのでは? 誰にでもなる可能性がある病気だからこそ、周囲の人間は考えすぎずにそれまでと変わりない態度で患者に接することが一番の思いやりになります。気を使いすぎたり、遠ざけたりといった態度は、うつ病患者の孤独感を深めたり、自分のストレスを溜め込む結果になりかねないためです。
ただし、ただのうつ病でなく、アルコール依存症と併発したうつ病には注意が必要です。実は、アルコール依存症とうつ病には強い相関関係があって、うつ病になるとアルコールに依存しやすくなることが知られています。また逆に、アルコール依存症が進行したためうつ病をも発症してしまうケースもあります。まれにですが、同時に双方を発症してしまう場合もあるようです。
二つの病気の因果関係ははっきりしていませんが、辛い状況を酒で紛らわそうとする気持ちが患者にあるのは確かなようです。少量の飲酒でストレスが軽減されるのであればそれで問題ないのですが、過剰な飲酒は自殺の危険性を高めるとされています。
うつ病とアルコール依存症の双方が認められる人の場合、大量にアルコールをとることで、気分がリラックスするのを通り越して絶望的な気持ちになることが多いのです。そして自暴自棄な気持ちになり、自殺衝動を高めてしまうのだとか。自殺者の体内からアルコールが検出されるケースが多いのは、死ぬ恐怖を克服させるためだと長年みなされてきましたが、酒の勢いで自殺にいきついてしまったという考え方もじゅうぶんにあり得ます。
これを防ぐためには何よりもまず、アルコールを断たせることが重要です。専門医の指導を仰ぎながら、重度の場合は入院しながら治療を進めていくことになります。アルコール依存症になってしまうと酒を少量に減らすことは非常に難しく、始めからきっぱりと全てを断ってしまうような治療法が行われることが多いようです。そのため、日常とは異なる病院という環境で治療に専念する方が、早い効果が得られるのでしょう。
ただのうつ病であれば過度の監視がかえって悪になる家族の対応ですが、アルコール依存症がある場合には、自殺衝動の高まりを抑えるためにも、きちんと断酒を監視してあげる必要があります。依存症の診断は受けていなくても、うつ病でアルコールの摂取が多くなっていると感じられたら、じゅうぶんに注意してあげなくてはなりません。